2018年12月15日第49回名寄ピヤシリジャンプ大会
今シーズン注目が集まる長身ジャンパー小林諭果(CHINTAI)のトライアルジャンプを見たとたん、シルエットが変わったという印象を受けた。空中シーンに張りが出てきていたのである。それも懐を深くして、両肩から思い切って突っ込んでいくスピードジャンプになっていた。
「あの夏場がひどかったんです、 迷いもありました。 それで新たに学びたく思って フィンランド合宿に行きました。 そこで現地のフィンランド人コーチに指導を受け、 納得のいく動作が得られました」(小林)
ダイナミックな攻めのジャンプで、1本目89mで3位につける。ちょうど1位タイには高校生の勢藤理桜(下川商)と早大スキー部の後輩で大井栞が並んでいた。その差にしてわずか1.5ポイント、充分に逆転可能だ。であれば、もちろん優勝を狙っていくしかない。
2本目どうしようもない緊張感に包まれて、胸に手をやる小林だった。
先に飛び終えていたチームメイトの茂野美咲(CHINTAI)が控室キャビンへ戻ることなく、わくわくと小林のジャンプを見守っていた。
そしてあと残りふたりの飛距離が伸びないのを見届けて、すぐに小林におめでとうと抱きついた。
『やったー』と小林が声を上げた。
「風はあまりありませんでしたが、 とにかく力まないように飛びました。 トライアルのときから緊張して、 でも優勝を意識して結果を出したいと願ってのジャンプでした」(小林)
この冬には所属のCHINTAIが海外合宿トレーニングを実施した。行先はジャンプの本場北欧フィンランド。北部にあるサンタクロース村で有名なロバニエミで、五輪銅メダリストのベテラン指導者ユッカ・ユリプリコーチからフィンランドの基礎技術を学んでいた。
「腰の位置を高くして飛んでみなさいということでした。 優しい英語でやりとりしながらイメージをつかんで、 一歩ずつでしたが、合宿中は77本のジャンプをこなして。 その感覚が身体にしっかりと染みついたのだと思います。 帰国してようやくこの名寄でいいジャンプを出せました」
そう、うれしそうに語った小林だった。
短期間で新しいテクニックを習得して、すぐに優勝してしまうのは小林ファミリーならではのジャンプセンスの良さを受け継いでいる証明だった。
今季シーズン絶好調にあり既にW杯で4勝をあげて個人総合首位を走る弟の陵侑(土屋ホーム)と、前年にW杯初優勝を記録した兄の潤志郎(雪印メグミルク)のジャンプを観て、秋口に、いまは飛距離を出せないと悩んでいる場合ではないと奮起した。
望むのは土日の名寄国内試合2連勝。女子代表メンバー入れ替えの可能性に、大きく前進した。
「自分のジャンプ技術のレベルが向上してきたように思います、 それに雪上で飛ぶ本数をたくさんこなせたので、 それが自信になっています」(茂野)
フィンランド合宿でまたひとつ手応えを得た茂野美咲(CHINTAI)だった。
「全体にアベレージが上がってきているので、 あせることなく落ち着いて飛んでいきたいと考えています」(茂野)
女子出場31名中31番目というラストジャンパーの注目される位置から、1本目はやや風に恵まれなかったせいもあるが、そこは2本目に持ち直して7位に入ってきた。
ベテラン選手として経験豊富さで、あらゆる状況に対応できる抜群のジャンプセンスを持つ好選手だ。
今後の上位進出が期待される。
(文/写真 岩瀬孝文)
1位 小林諭果 (CHINTAI)2位 大井 栞 (早稲田大学)3位 勢藤理桜 (下川商業高校)4位 渡邊 陽 (東海大学)5位 御家瀬恋 (イトイ産業)6位 宮嶋林湖 (白馬中学校)7位 茂野美咲 (CHINTAI)8位 久保田真知子 (飯山高校)
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